イジワル社長と偽恋契約
「そうかな~じゃあ行っちゃおうかな。それでね、旭さんて何が好きなの?何か作って持って行ってあげようと思って」

「…」


旭さんの好物なら知ってる。

ふわふわの玉子焼きときんぴらごぼう、塩をふった焼き魚に味噌汁。





「良かったらうちで作っていきますか?材料ならありますよ」

「本当!?」


いつも朝食を持って行ってるから、冷蔵庫にはいつでも何かしら材料が入ってる。

そして私の頭の中にも、彼好みの味付けレシピがしっかりインプットされてる。








「ありがとう!三井さんにお願いして良かった~」

「では最初にお米を研ぎましょうか。社長はおにぎりも好きなので、持っていかれたらきっと喜ぶと思いますよ」


なに婚約者に協力してんのよ。

本当にお人好し…





ブーブーー


炊飯器のお釜を出してお米を入れていると、テーブルに置いていた私のスマホが鳴った気がした。






「すみませんがこれ研いでおいてくれます?」

「はーい」


私はキッチンから離れてスマホを覗くと、旭さんからLINEが来ていた。

胸がざわざわっとしたがメッセージを読む。





『腹減った。今すぐ来て』




休日の呼び出しは珍しいことではない。

でも婚約者がいる限り、仕事意外のことで彼が私に頼るのは違うと思った…







「三井さーん!これってお水どれくらい?」

「あ、はーい」


私は旭さんに返事を返さなかった。

そして、恵さんと彼の好物ばかりを入れたお弁当を手際良く作った。










「本当にありがとう!!私料理苦手だから三井さんに頼んで良かった」


お弁当を持った恵さんを玄関先で見送る。

私は複雑な気持ちを抑えて、なんとか笑顔を保っていた。
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