イジワル社長と偽恋契約
いつもより真剣な面持ちで話す旭さんに、私は同情を覚えていた。

しかし恵さんの事を思い出すとまた振り出しに戻る。






「それで…恵さんの事は?」


旭さんの過去と偉大なお父様の事はわかったけれど、

恵さんの事は私の中で解決してないんですけど…





「親父が亡くなってすぐに婚約解消したよ。でも向こうが聞く耳持たないというか…「いつまでも待つ」とかわけのわからないこと言われて」

「わけのわからないじゃないです!それくらい旭さんの事好きなんですよ」


恵さんの気持ちわかるもんな…

旭さんに婚約申し込まれたら絶対好きになっちゃうよ。

私だって解消されても待つ気でいると思う…






「…恵さんにちゃんと話してちゃんと謝って下さい」

「わかってる…でもその前に…」


旭さんが私に近づいてきてグイッと腕を引っ張る。

そして…






「もう一回キスさせて」

「…ダメです」

「何でだよ」

「これが解決するまでは、社長には一切近づきませんし心も開きません」


そんな軽い気持ちでいたら恵さんにも悪いよ…

彼女とてもいい人だからものすごく胸が痛い。






「んとに…その辺の女とは違うよなお前は」


お手上げとでも言ったようにため息をついて、旭さんは少しだけ微笑む。

私が「当然です」と胸を張ると、彼はすぐにスマホを出して恵さんに連絡していた。


そしてその日の夜。

私と旭さんは彼女に会いに行った。
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