イジワル社長と偽恋契約
緊張して立っていられないくらいだ。






「ベット行こうか」

「だ、だからっ!」


すぐそっちに行こうとする旭さんに、私はまた突っ込むように声を荒らげた。

この人そういうことしか頭に無いわけ?





「なんだよ。ここまで来てまだ焦らす気か?散々待たせておいて…」

「待たせたって…私がいつそんなことっ」

「お前が奥手だろうと思ってずっと2人きりになっても我慢してたんだ。でももういいだろ。キスだってもう2回したし」

「ちょっと待って下さい!」


旭さんの今の言葉で疑問が次々に浮かび、私は思わずストップをかけた。





「なんだよ」

「…我慢してたって……どういうことですか?どうして社長が我慢するの?」

「…それ説明しなくちゃいけないのか?」


その問いに大きく頷くと、旭さんはハァ…とめんどくさそうにため息を吐きソファーにドカッと座った。






「前に1回キスしたろ。あの…クソ野郎とお前が密会してた日」

「変な言い方しないで下さい」


遥也と飲んだ日のことを言ってるみたいだけど、決して密会ではありませんので。






「あの日から俺の中でお前とは付き合ってると思ってた…」

「えっ!」


あの日のあのキスから!?




「あれは…成り行きじゃないんですか?」

「…お前はそうだったのか?」

「いえ!私はその時から社長のことを好きで…いや、その前からですけど…」


旭さんの前で改めて「好き」と言葉にすると、すごく恥ずかしくなる。





「俺もだよ。気がついたらお前のこと好きになってた。多分お前もそうだと思って…まあ、そうじゃなくてもいずれはそうさせるつもりだったんだが…」


この強引さと自信。

有り得ないんだけどかっこいいと思ってしまうのは、私が旭さんを好きな病だからだろうか…
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