妖しの姫と天才剣士
え、えぇ⁉︎ どういう事⁉︎ 駄目だ、頭がついていかない。
総司って、私の事嫌いになったんじゃないの…………⁉︎
嫌いな奴をこんな事する⁉︎
「ごめん。ごめんね、さゆ」
苦しげに漏らされる声に強められる腕の力。
その両方に私は何も言えなくなって、ただ、ただ黙ってその腕に手を重ねる。
「さゆに、聞いて欲しい事がある。いいかな?」
その言葉に息が詰まる。嫌いって、伝えたいのかな。
想像しただけでポタポタと涙が出てきて、嫌になる。
ううぅっ。
最後ぐらい、総司に迷惑掛けまいと思ったのに。
「えぇ⁉︎ さ、さゆ……。きっとさゆが思ってる事じゃないと思うよ」
慌て出す総司に目を丸くする。
私が思ってる事じゃない? 嫌いって、別れようって話じゃないの?
「土方さんにも言われちゃったし、良い加減言っといた方が良いのかなぁって。
……さゆにとってあまり良いことじゃないかもだけどね」
そう言う声音がとても悲しくて、辛そうで。私は何も言えなくなった。