妖しの姫と天才剣士



一人で身悶えていた私と、目を開けた総司の視線がかちあう。


真っ直ぐとした総司の目。


久しぶりにこんな近くで顔を見たかも。



「「…………」」



少しの間の後。



「「わあああっ!」」



互いに驚きの声を上げて、あたふたしながら背中合わせに座った。



どうしよう、すっごい気まずい。


本当の事を聞きたい。なのに、話しかけるのが怖くて。真実を知るのが怖くて。


意気地のない私は体を丸めて、俯いているしか出来ない。


あの場所だったら、もしかしたら聞けたかもしれないなんて。


馬鹿みたい。


寒かったし、色んな痛みで理性が追いついていなかったんだ。


もう、何も聞きたくない……。


そんな事を考えながらため息をついていると。



「っ⁉︎」



ぎゅっと、後ろから抱きしめられた。


< 233 / 307 >

この作品をシェア

pagetop