鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
「いやね、息子に彼女できたって言うものですから。
会ってみたくて会ってみたくて!
ちょっと無理矢理に呼び出してしまいまして」

「そうなんですよ、美空ちゃんのお母さん。
あ、どうですかご一緒にお鍋でも」

父さんまで出てきて、席を促す。
いつの間にか、また一つ、椅子が増えていた。

この6人掛けの食卓が一杯になること、なかったなぁ、と、関係ないけど思う。

「いえいえ、娘がご馳走になって、わたしまでなんて、いけませんよ?
私はおいとまを……」

言いかけたおばさんの手をとって、母さんが席へと連れてきた。

「どうぞ、今日はお鍋なんです。
一緒にいただきましょう?」
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