フルブラは恋で割って召し上がれ
急展開にどう対応していいかうろたえる私の前で、斎藤氏はスーツの上着を脱ぎ捨て、ネクタイをぐぃっと緩めて床に放り投げると私のベッドに向かって歩きだした。
「ちょ、ちょっと待ってください。マネージャー! ここで寝ちゃダメです! ダメっていうか困ります!」
慌てて後を追う私は、急に立ち止まった斎藤氏の背中に顔をぶつけてしまった。ゆっくりと振り返る斎藤氏。顔は真っ赤で目が座ってる。
「も、もしかして酔ったんですか?」
一口だけで? しかも酔っ払うの早すぎっ!
斎藤氏はそれには答えず、黙って私の方に向かって両手を突き出してきた。
「な、なんですか?」
「ボタンが、取れません」
半分眠っているんじゃないかって感じでそう言う斎藤氏。なんだか可愛くて胸キュンしそうだけど、このままじゃ私のベッドを占領されてしまう。それだけは阻止しなくちゃ! 何とかして帰ってもらわなくちゃー!
……と思っても、酔っ払ってふにゃふにゃしていても相手は大人の男。手を引っ張ってもびくともしなくて。
悪戦苦闘している私の目の前でとうとう斎藤氏は上半身裸に。そしてベルトをカチャカチャさせてスラックスをすとんと床に下ろしたあと、私の方に向き直った。
「すいません、マネージャー! パンツは、パンツだけは履いててくださいっ!」
何をお願いしているんだか自分でもわからない。目の前で服を脱ぎ捨て、トランクス一枚の上司が現れたら、そりゃパニックにもなりますよねっ!
「寝るぞ」
ふわっ、と身体が宙に浮いて、気がつけば斎藤氏にお姫さま抱っこされている私。
そして、ベッドの上に放り出され、体勢を整える間もなく斎藤氏が私の上に覆いかぶさってきた。