おいてけぼりティーンネイジャー
すぐに部員や顧問が飛びついてきて、もみくちゃにされた。
祝福の波が去ってから、改めてスタンドの下へ向かう。
アリサは頬を紅潮させ、目をキラキラと輝かせていた。
「見たー!?」
下からアリサに向かって叫ぶと、恥ずかしいらしく、右手の人差し指を唇にあてて、しーっとゼスチャーされた。
図書館でされたのと同じだけど、あの時とは表情が全然違った。
俺は、したたり落ちる汗を拭くのももどかしく、タオルを頭からかぶってスタンドへと駆け上がった。
「アリサが来てくれてるのが見えて、うれしくてテンション上がっちゃった。おかげでいいタイムが出たよ。ありがとう。」
彼女の前にしゃがみこんでそう言った。
「……暎(はゆる)くん、本当に速いのね。驚いたわ。おめでとう。」
アリサは本当に驚いているようだった。
「ありがとう。これでやっと言えるよ。俺、けっこう速いんだぜ、って。」
まあ、県記録には及ばないが。
「記録保持者は全日中、勝者は関東地区の大会に出るって書いてあるけど……」
大会プログラムを読んで、よくわからなかったらしくアリサは指し示した。
「ああ、いっぱいあるんだ。記録会だの学校総体だの、地区大会だの。場馴れできるから片っ端から出てるけどね。」
「……すごい体力ね……」
アリサの言葉が妙に新鮮に聞こえた。
確かに、大会日程が詰まってるとハードだけど、体力的には普段の練習のほうがずっと体を酷使しているのだが。
「今年の関東地区総体は、神奈川なんだ。横浜。ちょうど2週間後かな。また来てくれたら、すごくうれしい。」
俺がそう言うと、アリサは晴れやかな笑顔を見せてくれた。
「わかった。次は200も見たいから、2日間とも頑張って来るようにする。」
うれしかったので、俺はさらに言ってみた。
「その1週間後は近畿で全日中なんだけど……」
「さすがにそれは無理!」
途中でそう遮られて、俺は苦笑した。
「違うよ。全日中で引退すんの。その後、まだ10日ぐらい夏休みあるからさ……デートしない?」
アリサの顔が目に見えて赤くなった。
もう癖なんだろうな……アリサは無意識にきゅっと心臓を押さえてから、そっと手をはずした。
「ドキドキする。でも、怖くない。うれしい。」
やったー!
俺はついアリサの両手を取った。
「約束だよ!」
アリサは花のような笑顔を見せてくれた。
祝福の波が去ってから、改めてスタンドの下へ向かう。
アリサは頬を紅潮させ、目をキラキラと輝かせていた。
「見たー!?」
下からアリサに向かって叫ぶと、恥ずかしいらしく、右手の人差し指を唇にあてて、しーっとゼスチャーされた。
図書館でされたのと同じだけど、あの時とは表情が全然違った。
俺は、したたり落ちる汗を拭くのももどかしく、タオルを頭からかぶってスタンドへと駆け上がった。
「アリサが来てくれてるのが見えて、うれしくてテンション上がっちゃった。おかげでいいタイムが出たよ。ありがとう。」
彼女の前にしゃがみこんでそう言った。
「……暎(はゆる)くん、本当に速いのね。驚いたわ。おめでとう。」
アリサは本当に驚いているようだった。
「ありがとう。これでやっと言えるよ。俺、けっこう速いんだぜ、って。」
まあ、県記録には及ばないが。
「記録保持者は全日中、勝者は関東地区の大会に出るって書いてあるけど……」
大会プログラムを読んで、よくわからなかったらしくアリサは指し示した。
「ああ、いっぱいあるんだ。記録会だの学校総体だの、地区大会だの。場馴れできるから片っ端から出てるけどね。」
「……すごい体力ね……」
アリサの言葉が妙に新鮮に聞こえた。
確かに、大会日程が詰まってるとハードだけど、体力的には普段の練習のほうがずっと体を酷使しているのだが。
「今年の関東地区総体は、神奈川なんだ。横浜。ちょうど2週間後かな。また来てくれたら、すごくうれしい。」
俺がそう言うと、アリサは晴れやかな笑顔を見せてくれた。
「わかった。次は200も見たいから、2日間とも頑張って来るようにする。」
うれしかったので、俺はさらに言ってみた。
「その1週間後は近畿で全日中なんだけど……」
「さすがにそれは無理!」
途中でそう遮られて、俺は苦笑した。
「違うよ。全日中で引退すんの。その後、まだ10日ぐらい夏休みあるからさ……デートしない?」
アリサの顔が目に見えて赤くなった。
もう癖なんだろうな……アリサは無意識にきゅっと心臓を押さえてから、そっと手をはずした。
「ドキドキする。でも、怖くない。うれしい。」
やったー!
俺はついアリサの両手を取った。
「約束だよ!」
アリサは花のような笑顔を見せてくれた。