おいてけぼりティーンネイジャー
さすがに、ここに出られた部員はわずか4人。
同じ競技の者はいない。

1日めには俺は出番はなかったので、応援に回った。
合間を見てアリサに手を振ったりはするものの、立場上、スタンドまで行くことはできなかった。

ちぇ~。
アリサ、つまんなかっただろな。
短距離しか出ないって知ってるはずなのに、せっかく来てくれてたのに。
明日は絶対話しかけに行こう!
そうだ、連絡先も聞かなきゃ。

2日めも、朝からスタンドにアリサを見つけて、ホッとした。
あれ?でも……何だか、昨日より白い……いや、青い気がする。
やっぱり連日はつらかったのかな。

朝9時半から、200mの予選を走る。
……何となく、調子がよくないかも。
もともと200は、俺には長いので気持ちよく走れないのだが……それでもちょっと違和感を覚えた。
アリサのことが気がかりなのかな。

11時に、100mの予選を走った。
この時は特に不調を覚えず、いつも通り気持ちよく走れた。
タイムは11秒ジャスト。
決勝では10秒台を出せるかもしれない。

200mの決勝前にアリサのところへ行こうとしたが……さっきまでアリサが座っていたところが空席になっていた。
どうしたんだろう?
昼飯でも食いに行ったか?
……どこかで気持ち悪くなってなきゃいいけど。
また気持ちがそわそわしだした。

12時45分、200mの決勝。
俺的には、20分後の100mのほうに照準が合っているので、こっちは欠場しようかと一瞬思った。
……しかし、精神論を振りかざす古臭い顧問に言うのをためらい、走ることにした。

順位とタイムにこだわらず、100mの準備運動のつもりでいいか。
そんな甘えが心に生じていたことも、後になってみれば悔やまれた。

……走り始めてすぐ、隣のレーンの走者がつまづいたらしく……俺と絡んで転倒した。
前しか見ていなかった俺は、突然の背後からのタックルに気づくわけもなく、力一杯前につんのめった。

体勢を立て直そうと、無理に身体を捻った。

足首でパチン!と、弾ける音がした。

俺は、そのまま動けなくなってしまった。

審判や役員が飛んでくる。
顧問や部員が心配そうに声をかけ、覗きこんでくる。
女子部員が泣いている。

俺はスタンドを見渡す。
いつの間にか戻ってきたアリサは顔面蒼白……アリサのほうがつらそうだ。

大丈夫かな。

てか、俺、このまま病院とか行くことになる?
……アリサのとこ、行けない?

うわぁ、それ、最悪。

アリサぁ。
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