おいてけぼりティーンネイジャー
「セックス・ドラッグ・ロックンロール。」
バンドのメンバーは意味もわからずこの言葉を免罪符のように振りかざし、やりたい放題していた。
「一条も来いよ。」
ライブのあと、打ち上げと称したバカ騒ぎと乱交。
メンバーもファンだと言う女の子たちも、狂っている。
「悪ぃ。脚が痛むから、やめとくわ。」
一年が過ぎても、俺はアキレス腱を庇っていた。
独りでイアン・デューリーを口ずさみながら、ライブ会場を後にする。
俺のファンだという女たちを適当にあしらい、振り切って帰路に就く。
たまに、ライブの興奮を女で鎮めることもあったが、後が煩わしいのでなるべく控えた。
頭の悪い女とは、体は重ねられても、会話ができない。
最近また、『ピレボス』を読み直した。
結局、俺もまた快楽至上主義ではなかったらしい。
快楽、思慮、知性の優劣……まあ、そこに音楽も入れたいところだが。
女を貪る激しい快楽よりも、純粋な知性と思慮深い心に強く惹かれた。
たまに、まともな話ができる女の子もいた。
ピロートークで文学的な会話ができると、一度きりで終わってしまうことは惜しく感じた。
しかし何度か関係すると、とたんに三文小説になってしまう。
女といても、仲間といても、家族といても、俺は孤独だった。
年上の女性といることが楽なことに気づき、女子大生に夢中になったこともあった。
依存されることが少ないので、気楽に付き合えたのだろう。
彼女の部屋の合い鍵をもらい、有頂天で通った。
が、付き合い始めて1ヶ月足らずで、彼女が他の男とベッドにいるところに遭遇してしまった。
……鍵渡すなら、もうちょっと気をつけてくれよ。
もう少し大人になればそう苦笑できたのだろうが、高校一年生の俺は、鍵を彼女の顔をめがけて投げつけることしかできなかった。
情けない話だが。
好きだな、と思った女には、なぜか手痛い裏切りを受けることが多かった気がする。
……どうでもイイ女の一途な純情はうざいし……うまくいかないもんだと思ってたよ、ほんと。
結局、男と女って、惚れたほうが負けなのかな。
女に交われば交わるほど、愛や恋を信じられなくなった。
極めつけは、あれだな。
近くのお嬢様学校に通うバリバリのお嬢様。
かわいくて素直で頭がよくて、何より、品のいい優しさに惹かれた。
俺を理解しようとしてくれる気持ちがうれしくて、音楽も文学も哲学も共有しようとした。
驚いたことに、彼女は特に哲学が好きだったらしく、初めて他人とイデアの話ができた。
……気づいてみれば、彼女の中庸な思考は『ピレボス』でソクラテスが語っていた理想そのもののように思えた。
俺は、彼女を崇拝に近い想いで愛した。
バンドのメンバーは意味もわからずこの言葉を免罪符のように振りかざし、やりたい放題していた。
「一条も来いよ。」
ライブのあと、打ち上げと称したバカ騒ぎと乱交。
メンバーもファンだと言う女の子たちも、狂っている。
「悪ぃ。脚が痛むから、やめとくわ。」
一年が過ぎても、俺はアキレス腱を庇っていた。
独りでイアン・デューリーを口ずさみながら、ライブ会場を後にする。
俺のファンだという女たちを適当にあしらい、振り切って帰路に就く。
たまに、ライブの興奮を女で鎮めることもあったが、後が煩わしいのでなるべく控えた。
頭の悪い女とは、体は重ねられても、会話ができない。
最近また、『ピレボス』を読み直した。
結局、俺もまた快楽至上主義ではなかったらしい。
快楽、思慮、知性の優劣……まあ、そこに音楽も入れたいところだが。
女を貪る激しい快楽よりも、純粋な知性と思慮深い心に強く惹かれた。
たまに、まともな話ができる女の子もいた。
ピロートークで文学的な会話ができると、一度きりで終わってしまうことは惜しく感じた。
しかし何度か関係すると、とたんに三文小説になってしまう。
女といても、仲間といても、家族といても、俺は孤独だった。
年上の女性といることが楽なことに気づき、女子大生に夢中になったこともあった。
依存されることが少ないので、気楽に付き合えたのだろう。
彼女の部屋の合い鍵をもらい、有頂天で通った。
が、付き合い始めて1ヶ月足らずで、彼女が他の男とベッドにいるところに遭遇してしまった。
……鍵渡すなら、もうちょっと気をつけてくれよ。
もう少し大人になればそう苦笑できたのだろうが、高校一年生の俺は、鍵を彼女の顔をめがけて投げつけることしかできなかった。
情けない話だが。
好きだな、と思った女には、なぜか手痛い裏切りを受けることが多かった気がする。
……どうでもイイ女の一途な純情はうざいし……うまくいかないもんだと思ってたよ、ほんと。
結局、男と女って、惚れたほうが負けなのかな。
女に交われば交わるほど、愛や恋を信じられなくなった。
極めつけは、あれだな。
近くのお嬢様学校に通うバリバリのお嬢様。
かわいくて素直で頭がよくて、何より、品のいい優しさに惹かれた。
俺を理解しようとしてくれる気持ちがうれしくて、音楽も文学も哲学も共有しようとした。
驚いたことに、彼女は特に哲学が好きだったらしく、初めて他人とイデアの話ができた。
……気づいてみれば、彼女の中庸な思考は『ピレボス』でソクラテスが語っていた理想そのもののように思えた。
俺は、彼女を崇拝に近い想いで愛した。