おいてけぼりティーンネイジャー
が、それも長くは続かなかった。
ある日、バンド仲間の部屋に入ったら、その子が仲間とヤッてる最中だった。
……頭が真っ白になった。

「一条~!この子、最高!一緒にしよーぜ。」
仲間が悪びれもせず俺を誘ってるときも、彼女はそいつにしがみついていた。
「……いや、俺は、いい。」
早くそこから立ち去った。
彼女は、俺の知る知的で控えめな女じゃなかった。
……後から知ったが、この時2人はドラッグを使用していたらしい。
快楽のみを貪欲に求める醜悪な獣に堕ちたのをまざまざと見せつけられて、俺は吐き気を催した。

それからのことは覚えていない。
大切に大切にしてきた彼女のはずだったのに、それっきり……名前も思い出せない。

ただ、あれがきっかけになって、俺の中の箍(たが)がはずれた。
仲間に誘われるまま、乱交にも参加した。
たまにはセックスドラッグも使ってみた。
……どうしても身体に合わないらしく、快楽より頭痛や吐き気がつらかったので、結局使わなくなったけれど、新しい薬を仲間が入手するたびに試した。

仲間の悪行はとどまるところを知らず、女を妊娠・堕胎させるのは日常茶飯事。
酔っ払って喧嘩をして大怪我をして入院したり、警察の厄介になることもあった。

高校2年の時には、仲間の1人が少年院に入ることになった。
芋づる式に俺らもパクられることになるかと覚悟したが、あとの4人はお咎めなし。

社会は不条理だ。



高校を卒業すると、自動的にバンドは解散となった。
俺は同じ系列の大学に進学した。
相変わらず髪はキンキンで長かったが、仲間がいなくなると、俺自身の行動は地味なもんだ。
女にはいつも取り囲まれていたが、法に抵触するような悪さはしなくなかった。

バンド活動ができなくなった俺は、音楽に飢えていた。
オーケストラ部のチューニングや、キャンパスの教会の賛美歌にまで耳を傾けた。
アコースティックギターを抱えて歌っているストリートミュージシャンまでもがうらやましく感じた。

ある日、図書館で変な奴を見た。
そいつは、書庫の奥に置いてあるマイクロリーダーで古いマイクロフィルムを見ていた。
画面には、古い五線譜。

「……ずいぶんシンプルなメロディーだな。」
ついそう話しかけてしまった。

驚いた顔で振り返った男は、妙に雰囲気のある男だった。
< 24 / 198 >

この作品をシェア

pagetop