双姫 Ⅰ
『うわぁ~…なんか久々。』
「朱音は長い事来てないもねぇ~?」
『あのさ燐、
学校では『蒼翔』って呼んでくれ。』
「えーーー!?なんでなんでなんで!!!」
『いや…男装してるし……。』
幸い教室は騒がしい為、
この会話は誰にも聞こえない。
「てかさ!なんで男装して来たの!?
普通に女の子で来れば良かったのにぃ!」
「何故男装する必要があったんですか?」
『最初はスカートで行こうとしたんだけど、
最っ高に似合わなくて!!
そしたら母さんから
このウィッグ渡されて一応着てみたんだよ。』
「それでそんまま来たのかぁ?」
『うん、遅刻しそうだったから…。』
「愁斗と同じだな。
コイツもその日寝坊しやがって
俺らが遅刻しかけたんだ。」
「あ~!そういえばそうだったねぇ!」
「藤先の名簿叩きは本当に痛いですから。」
李樹もくらった事あるんだ(笑)
「それで門の前に居る蒼翔を見つけたんだよ。」
『…そうだったんだ。』
なんだ気まずいと思ってたけど
全然話せるじゃん。良かった…。