双姫 Ⅰ


「おらーテメェら座れぇ~。」


面倒くさそうに教室に入って来た光ちゃん。

でも、私に気付いていないみたい。


「出席とるぞー高速で呼ぶから返事しろー。」


高速?何それ(笑)


「神崎ー『はい。』……え?」


へー私ってクラスで出席番号一番なんだ。
初めて知ったわ(笑)
いつもサボってばっかりだから。


「か、神崎!?」


『だから…『はい』って言ってんだろ?
光ちゃん見えてますか~??』


ヒラヒラと手を振って見せる。


「お、お前…。
どんだけ心配したと思ってんだぁー!!!!」


『うわぁーーーー!!
鼻水垂らしながらこっち来んなぁ!!!!』


ギリ避けて光ちゃんは愁斗に突進した。


「ギャーーーー!藤先きたねぇーーー!!」


「ティ、ティッシュティッシュ!!
ほら愁斗!これ使って!!」


コントをしているみたいで
教室内は笑いに包まれた。


『…こんなのも良いかな。』


今迄教室でこんな風に
笑ったり楽しかった事なんて無かった。


「これから沢山起きるよ。」


私の前に座る類がそう言ってくれる。


『そうだったら良いな!』


皆に会えて良かったと素直に言える。


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