強引な次期社長に独り占めされてます!
「とりあえず、落ち着けお前。単なる鼻血だから」

「だって鼻血。ゴチンって、ガツンっていっちゃったんだもん!」

「いや。だから、手で押さえてないでティッシュをくれ?」

……あれ。

そ……そうだね! 手で押さえられても困るよね!

パッと離れて、カラーボックスに置いてあったティッシュボックスを取ると主任に差し出す。

「ごめんなさい……」

「不可抗力だろ、気にすんな。深呼吸深呼吸」

深呼吸? 吸って吐いてを数回繰り返し、ティッシュで鼻を押さえている主任を見つめた。

「お前はやっぱり面白いなー。普通にもてなそうとするし」

しゅんとなりながら正座をすると、主任は続ける。

「別に絵本くらい読んでても、俺は笑わねえよ」

ガバッと顔をあげると、床に散らばった童話が数冊見えた。

ああ、マイ・コレクションが散乱してる。

「絵本じゃないです。童話です」

本当に、主任には変なところばかり目撃されちゃうなぁ。
片付けながら俯くと、頭をポンポンと軽く叩かれた。

「女って、いくつになっても“お姫様”に憧れるんだろうし、別に隠さなくていいんじゃないか?」

「今、私が読んでいるのは、大人向けの童話です!」

「あー……俺は小説くらいしか読まないから」

……主任って本を読むんだ。

ぼんやりと思っていたら、ニッコリと微笑まれる。
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