強引な次期社長に独り占めされてます!
「普段の君は……きっとおとなしいんだな」

言われてギクリとした。

おとなしい……と言うよりも、私はたぶん暗い。親友に“たまにはハメを外せ”と言われるくらいには暗い。

「……そ。そんなことないですよ」

「とりあえず。食べたら飲んでもいいよ。素面だと恥ずかしくなってるみたいだから。この際、自分の限界を知るのも大切だろう」

また焼き鳥を差し出されて、手を伸ばすと離された。

「あの……?」

「はい。口開けて」

唇の端だけ上げて、ニヤリと笑っている口元が見える。死神さんはゆっくりと私の唇に焼き鳥を突きつけてきて……。

こ、これは何の羞恥プレイ?

「ほら。結構うまいよ?」

促されて、仕方なく微かに唇を開けると、少し香ばしく甘じょっぱいタレの風味が口に広がった。

焼き鳥の欠片を串から外して食べると、外側はパリッとしていながらも中は柔らかい。

「美味しい!」

そう言って口を開けたら、また焼き鳥を食べさせてくれた。

うん。とっても美味しい。好みの味かもしれない。

「……なんかヤバイ」

ボソリとした呟きに、瞬きして顔を上げる。

「人に食べさせるって、こんなに楽しいもんなんだな」

「楽しいもんなんですか?」

「なんかエロい」

その発言自体がヤバイですー!
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