強引な次期社長に独り占めされてます!
「ところで、なんでお前は飲みに誘われて困ってんだよ。彼氏がいるって断わりゃいいじゃないか」

なんだ、なんだ。主任がいきなりプライベートチックだけど。

「あ。いや。芳賀さんなら、深く突っ込まれそうで」

もじもじしながら呟くと、不機嫌そうに顔をしかめられる。

「突っ込ませてやれよ。言いふらす事でもないが、野間たちと違って、別に隠してないんだから」

そう言って、足を組みながら主任が溜め息をついた。

「あいつは直系だから、野間と付き合ってんのバレたら周囲の風当たりキツくなるだろうが、俺なんてちょっと近い親戚って程度なんだし。そもそも名字が違うから、安心しててもいいぞ?」

いったい何の話をしているんだろう。

あんぐりしていたら、がっかりされたけど。どうして?

「お前な。彼氏の身辺調査くらいしろよ」

「え。そんなこと必要ですか? 私は人の詮索なんてしたことなくて。付き合ったらするものなんですか?」

「まぁ、普通しない」

「……そうですか」

……これは、からかわれたのかな。

「お前は本当に狭い世界で生きているんだな。頭いいはずなのに、頭悪い」

「……はぁ。何だかここ最近、主任に馬鹿って言われているのはひしひしと感じます」

「……そこは反抗していいぞ? ちょっと無意識だから」

無意識で“馬鹿”って言っちゃダメですから。
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