強引な次期社長に独り占めされてます!
微かに甘い香りもする。
吐息が甘いって、主任どういうこと?

一歩引いたら、案外アッサリしたもので、微かに眉を上げただけで主任は苦笑した。

「その反応だと、上々かな。今日の帰りは飯食って帰るか」

「な、何をですか」

「何か食いたいものあるか?」

私が何か提案しても反論するくせに。

「主任が食べたいものでいいですよ。お付き合いします」

「あ、男にそういう事を言う?」

そういう事?

何の話をしているのかわからなくてポカンとしたら、苦笑するだけで主任は出ていった。

事務所に戻ると、芳賀さんが心配そうな顔をして近づいてきて、こっそりとデスクに戻った主任を横目で見つつヒソヒソ話を始めてくる。

「大丈夫? 何か怒られた?」

一応、あれは怒られたのかな?

「少し注意を受けただけですから。大丈夫です」

「なら、いいけど。ああ見えて、主任てたまに怖い……」

「そう思うのであれば、少しは手を動かしたらどうだろうか……と、僕は思う」

背後から低い声が重なって、そうっと振り返ると、主任が書類を片手に目を細めていた。

「す、すみません」

お互いに謝りながらパソコンに向き直る。

実は見ていないようで見ているよね。

そこからは大人しく終業時間まで真面目に仕事をこなして、最後にパスワードを書き換えると、ちょっと落ち着いた。
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