強引な次期社長に独り占めされてます!
終業時間になると、真っ先に事務所を出るのは幸村さんと沢井さんのふたり、次に芳賀さんと野田さん。

私もロッカールームに行こうと立ち上がり、それから振り返る。

今日、ご飯って言われたけれど、どうしよう?

「……お先に失礼します」

「ああ。後で社員入口でな」

……待っていろと言うことだろうか。

「はい」

軽く返事をしてから事務所を出て、ロッカールームに入ろうとすると、開ける手前で突然ドアが開いて思いきり顔面にぶつかった。

「やだ。ごめんなさ……」

必死な声で謝ろうとした誰かは、私の顔を見るなり冷たい顔になる。

「あら、ごめんなさいねぇ」

毒を含んだごめんなさいに、パチクリすると、何人かのクスクス笑いが降ってきた。

「やだぁ。あなたって本当に鈍くさいのねぇ」

「普通は避けるわよね。まぁでも、転んで入院するくらいだもの、それくらいじゃないとねえ?」

何がどうで入院して、ねえ、と言われても、全くもって理解できない。

呆然としているうちに華やかな彼女達はいなくなって、しばらくしたら芳賀さんが出てきた。

「松浦ちゃん、どうしたのそんなところに……って、本当にどうしたの!」

最後は叫び声で突進してきて、芳賀さんの驚愕した顔を見上げる。

「えっと……ドアにぶつかって……」

「今のスゴい音を出していたの松浦ちゃん? やだ。ちょっと、鼻血が出てるじゃない」

「え。あ……」

鼻を押さえていた手を見ると、赤いものがこびりついていた。

ええと、ティッシュティッシュ。
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