強引な次期社長に独り占めされてます!
違う。あれはそんな意味じゃない。絶対に違うから!

慌てていると、主任が意地悪そうな顔をしながら、ゆっくりと口角を上げていく。

「だからお前は“箱入り”なんだよ。つけこまれるだけだぞ?」

「す、隙をみせなければいいんですね!」

なら、見せない! 隙がどこにあるかはわからないけど、絶対に見せない!

「無理、無理。気取ってる時でさえハチャメチャなんだから、今さらってやつだよ」

「いつ私が気取りましたか!」

「主に仕事中かな?」

ポツリと呟やいて、主任はまた歩き始めるから、つられて歩きだした。

「……付き合いだしたきっかけなら、俺が無理矢理、お前を押したからだろう?」

何気なさを装う感じで繋がれた言葉。
とても静かな調子で言われたその言葉に、隣を歩く主任を黙って見上げる。

そして、全く交わらない視線。

「もしかして、照れています?」

「お前は、どーして二人きりになったらそうやってズケズケと饒舌になんだよ」

軽く睨まれて、言われた言葉に目を丸くした。

ズケズケと言っている気はしなかったんだけど。

確かに言われてみれば、男の人に向かってこんな風に話をしたことがない。

世間一般的な事を言う機会があれば言っていたけど、男性と会話が成立した試しはあまりなかったし。

でも、高井さんとも普通に会話できたよ?

まぁ……ちょっと高井さんは“男の子”が好きらしいから、途中からはなんだか女友達と話している気分になっていたけれど。

主任とは、ちゃんと会話になっているなぁ。
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