強引な次期社長に独り占めされてます!
「あまりからかわないでやってくれ」

主任がそう言いながらコートを脱ぐと、自分のデスクではなく専務の方に向かって行く。

見てみると、何だかいつもと雰囲気が違う……ような気がするのは、専務の姿に皆が緊張して見えるからかな?

「……あまり驚かないでね?」

こそっと野間さんが呟いて、何の事か首を傾げたところで芳賀さんが現れた。

芳賀さんにも前髪をからかわれながらコートを脱いで席につくと、いつものようにパソコンの電源を入れて……途端に鳴ったエラー音にぎょっとする。

見てみると、真っ黒な画面に、訳のわからない白い文字の羅列がズラズラ~と並んでいて尚更慌てた。

「の、野間さ……」

振り向いたら、何か違うものに遮られる。

「馬鹿。どーしてそこで野間を頼る」

見上げると、主任が身を乗り出していて、キーボードを何か操作すると音が鳴り止んだ。

「……確定だなぁ」

どこか困ったような主任と、険しい顔をした専務の顔。

何が確定? 一体、私は何もしてない……。

不安が表情に出ていたのか、主任は私を見下ろすと微かに微笑んで、サラリと頬を撫でてから真面目な顔をして専務を振り返った。
何だか、皆ピリピリしてるようで怖い。

様子を窺っていたら、専務と野間さんが何も言わずに事務所を出ていき、続いて人事の楢崎さんが出ていく。

「松浦はしばらく伝票整理してろ。幸村……朝礼頼む」

主任は、出社したばかりで目を丸くしている幸村さんにそう言うと、続いて事務所を出ていった。
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