強引な次期社長に独り占めされてます!
「じゃあ、席を移りま……」

「移ってどうする。馬鹿かお前は」

主任に睨まれてしょんぼりしていたら、楢崎主任がクスクスと笑い始めた。

「なんだ。またか?」

「以前より悪いですよ。しかも今回の問題は、営業部の一社員が、経理課の松浦のパソコンに不正アクセスしたって事ですから」

ふ、不正アクセス?

それに彼女……上原主任の“恋人は私”だとか言ってたよね?

私、二股かけられていた?

おかしいと思ったよ。主任みたいなスペックの男の人が、私みたいな……。

考えていたら、頭をポンポンと叩かれて顔を上げる。

そして声には出さない“馬鹿”の言葉。

主任て馬鹿って言い過ぎると思う。

目を細めて眺めていたけど、主任は真面目な顔をして立ち上がった。

「被害としては最少。松浦の書類については、些細なミスが多かったので、こちらで二重に確認していましたし……」

主任は真剣な表情で続けていたけれど、目の前でおこなわれている会議は色々と頭に入ってこない。

漠然と解ったのは、目の前の“彼女”が、私が使っていた端末の情報を勝手にいじっていたという事と、事務所内に隠しカメラがつけられていた事と、それから現金出納の数値が一部改竄されていた事。

ちょっと疑われていたのが私で……。

そして彼女は、“自分は上原主任の恋人”だと言っている事。
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