強引な次期社長に独り占めされてます!
たぶん、上原主任に一番迷惑がかかったんだろうなぁ。

「ああ。松浦」

目が合うと、その主任がクリップボードを片手に近づいてきた。

「パソコンの個人認証変えるのを忘れるなよ。それからクリスマス会に参加するのか?」

言われたことがいきなり過ぎて、一瞬反応が遅れる。

個人認証パスワードは前にも言われてましたが、クリスマス会?

「クリスマスに何かありましたか?」

「クリスマスと言う名前の馬鹿騒ぎがある。ハロウィンと同じで、毎年コスプレパーティーだ。うちの会社はそういうのが好きだから」

無表情に言われた言葉に首を傾げる。
去年はそんなものあったかな。考えてもあまり覚えてない。

「去年は松浦ちゃん来てないね。なんだったかな、確か、大学の同窓会に参加するとかで……?」

芳賀さんに横から言われて思い出した。確か嫌だわー……と思って、それらしい嘘をついた記憶が……。

「松浦ちゃーん。ハロウィンも来なかったんだから、クリスマスは参加するべきよ。ハロウィンは来るって言っていながら……」

ハロウィンは行きましたよ。行きましたけど……途中で抜けました。

でも、それを言ったら私が別人みたいに変わっていたこともバラしてしまうことになるし。

「捜したわけでもないのに居たのか居なかったのか、あの混乱の中でわかるわけがないだろう。現に僕は芳賀には会わなかった」

淡々とした上原主任の言葉に、芳賀さんが目を丸くして立ち上がる。

「上原主任いたんですか?」
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