強引な次期社長に独り占めされてます!
「しゅ、主任?」

「次、主任て呼んだら、何をしようかな~」

楽しく悪戯を考えているような主任の表情に、思わず引いた。

何をするつもりですか。

警戒していると、主任はクスッと笑って髪から手を離してくれる。

「あっちにトンネルがあるらしいぞ」

「トンネル?」

不思議そうにすると、そのまま無言で手を引かれて……目の前に見えたのは、まさに水槽のトンネルだった。

ガラス張りのトンネルから見える水面、巨大な空間に大小様々な魚が泳いでいる。

ゆらゆらと魚たちが楽しそうに泳いでいるから、思わずポカンとして天井を眺めていたら、その視界に主任の笑顔が入り込んできた。

「口開けすぎだぞ?」

パクンと口を閉じて、真面目な顔を主任に返す。

……思わず子供みたいな反応しちゃったよ。

なんとなく前髪に手をかけると、その前に主任がその手を捕まえて、やっぱり悪戯っぽく笑う。

「ダメだって言ってるだろ」

「……わ、わかりました。わかりましたから、手を離してください」

あっさりと手を離してくれたけど、繋いだ手はそのままだ。

水槽のトンネルをゆっくり歩きながら、時々面白そうに水槽を見上げる主任を眺める。

なんとなく……ガキ大将と言われるのはわかるかも。

こっちの意思も関係なく、ちょっと偉そうにやりたいようにするのはガキ大将そのものだ。

それでも大人だから、言語道断に無理矢理と言うわけじゃなくて、やんわりと人を従わせると言うか……。
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