恋は死なない。



「この前、古新聞をまとめてたらね。ずいぶん前のタウン誌だけど、この雑誌を見つけてね。そしたらこれに載ってたのよ。この人!」


奥さんはページをめくって、目的の記事を見つけて佳音に差し出してくれる。
佳音と一緒に、花屋の店主もそれを覗き込んだ。


「あっ!この人。佳音ちゃんの彼氏!」


佳音が息を呑むのと同時に、花屋の店主も声をあげていた。


それは毎号連載されている企画らしく、近隣の有名企業の有望な若手社員をピックアップして、紹介している記事だった。見開きのページには、和寿がニッコリと微笑んだり、真剣に語ったりしているところのスナップが、何枚か載せられていた。

そのスナップを見て、佳音の胸がキュウっと締め付けられて苦しくなる。
和寿に会わなくなってまだ三ヶ月しか経っていないのに、もう何年も会っていないような気がした。こんなにも愛している人なのに、佳音は彼の写真さえ持っていなかった。


愛しさと切なさと苦しさと……。それらがぐちゃぐちゃになって込み上げてきて、佳音は泣き出しそうになる。けれども、歯を食いしばって、必死で平静を装おうとした。


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