恋は死なない。




白木に縁どられた大きな窓のあるナチュラルな感じのその店は、ちょうど賑わう街の角地にあり、日当たりもよく、光と緑と花とで溢れている。交差するふたつの通りに面する店の角には、ウェディングドレスが飾られていて、真琴は思わずその美しさに目を奪われた。


「佳音ねえちゃん、おめでとうー!!」


足の速い子どもたちが、真っ先に扉を開けて店の中へと飛び込んだ。
そして、それに続いて、円香を抱いた古庄が明るい店内へと足を踏み入れる。その瞬間、店内にいた人々の意識が一斉に古庄に集まり、色めき立った。


「……あ、あの人、誰?古川さんの知り合い?それとも、佳音ちゃんの……?」


そう言ったのは、魚屋の奥さん。


「そ、それは知らないけど。すごいわぁ、あんな人がこの世にいるなんて。見てるだけで、ドキドキしてくる……!」


花屋の店主も、そう言って答えながら、目は古庄にくぎ付けだ。
そんな空気を醸し、自分たちを取り巻く人々を見回して、真和が発する。


「佳音ねえちゃんは、どこ?」


「……え?」


問いかけられて、真琴は焦り始める。もしかして、店を間違えてしまったのかと。


「佳音ちゃんと古川さんは、今は奥で準備をしてますけど。あの、佳音ちゃんのお知り合いですか?」


花屋の店主から声をかけられて、真琴はホッと胸をなでおろした。



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