恋は死なない。
「ああ!うちの人がさっきから連れて歩いてたわ!外には出てないと思うけど」
すかさず、魚屋の奥さんが気がついて、そう言った。一同はカフェ中を見回して、その隅っこ、通りに向かってディスプレイされているウェディングドレスの陰に、その『お姫様』を見つける。
魚屋のおじさんに手を引かれて、そこにいたのは、二歳半になる佳音と和寿の娘、寿音(じゅね)。佳音が作った白いドレスを着せられている寿音は、お姫様というより、まるで天使のように可愛らしかった。
「寿音」
と、佳音が呼ぶと、寿音はおじさんの手を離れ、テーブルや椅子の間をトコトコ走ってきて、佳音の足にしがみついた。
「まあ!佳音ちゃんにそっくり!すごく可愛い!!」
佳音に抱き上げられた寿音を見て、真琴が感嘆の声をあげる。
「やあ、産まれた時に見たきりだったから、大きくなったなぁ!」
古庄も寿音を覗き込んで、その表情を和ませる。
知らない人に取り囲まれて物怖じしている寿音に、佳音の面影を見て、和寿も愛おしそうに顔をほころばせる。
「それでは、みなさんお揃いのようなので、始めさせていただきます」
招待された客たちは、和寿から声をかけられて、それぞれ用意された席に着いた。