恋は死なない。
そこには、魚屋の夫婦や花屋の店主、八百屋のおばさんやその他商店街でお世話になっている人々、ずっと佳音を見守ってくれた古庄と真琴と二人の子どもたち、佳音と和寿の新たな門出を心から喜んでくれる人たちが集まってくれていた。
「今日は、僕と佳音の新しい店のプレオープンに来てくださって、本当にありがとうございます。今日はいつもお世話になっているみなさんに、感謝の意味を込めまして、ささやかな食事と僕の“自慢”のケーキたちを用意させていただきました。どうぞ、楽しんでいってください」
和寿が改まって挨拶をするなか、自分で「自慢の」と言ったのを聞いて、隣にいて真面目な顔をしていた佳音も思わず笑いをもらした。その佳音にも挨拶するように和寿が促すと、佳音も寿音と共に、皆に向かってお辞儀をした。
「私がこの街に来て、もう五年以上が経とうとしています。その間ずっと見守ってきてくださった商店街の皆様、古庄家の皆様、今日は皆様にいつものご恩返しができたらと思っています。本当にありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いいたします」
結婚をして、一緒に夢を追い求めたこの三年間。和寿は慣れない仕事をしながら、お菓子作りの勉強と修行をして、本当に寝る暇もないほどだった。そんな和寿を、側で応援することしかできなかった佳音にとっても、本当に辛いときもあった。