恋は死なない。



「これが、新しい僕の“夢”だよ。他にも、まだたくさん夢はあるけどね」


佳音の目に、みるみる涙が浮かんでくる。けれども、喜びの日に似つかわしくない涙は見せまいと、佳音もニッコリと笑ってみせた。


「……いつの間にか、夢が増えてたのね」


「そう、夢は膨らんで、どんどん増えていくものなんだ。君と一緒にみる夢なら、いくつあってもいい」


和寿が語るのを聞きながら、佳音はしっかりと頷いた。その夢を一つ一つ叶えていくことが、“幸せ”というのかもしれない。


「おかーさん、おかーさん!キラキラ、キラキラ!」


その時、寿音が大きな声を出して佳音の気を引いた。寿音が指差す先を見ると、窓辺にディスプレイされたドレスの生地に縫い付けられた小さなスワロフスキーが、秋の傾いた日の光を受けて輝いている。


それは、佳音と和寿の出会いから今までを、すべて見つめてきてくれた幸世のウェディングドレス。


「ほんと、キラキラ光って、とっても綺麗ね……」


佳音が目を細めてそう言うと、和寿もその光景を眺めながら、テーブルの上に置かれていた佳音の手をそっと握った。



カフェの中は光が射し込んで、また趣きを変える。

そこで招待客たちが交わす、楽しいおしゃべりの声は心地よく佳音の耳に響き、いつまでも絶えることがなかった……。









      「恋は死なない。」

        ― 完 ―

        2016.2.27















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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
ぜひ、レビューなどでご感想をお聞かせいただければ、幸いです。
また、他作品でご縁がありますことを、楽しみにしております。

ちなみに、本作品で登場した古庄と真琴の恋物語が「恋はしょうがない。」シリーズとなります。高校生の佳音が「恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜」「恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜」に登場しています。こちらの作品をまだお読みでない方、超イケメン古庄が気になる方は、ぜひ読んでみてください。……宣伝です(笑)


皆実 景葉 でした。
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