恋は死なない。
「出来栄えはどう?素敵に出来上がった?」
「最初の仮縫いとは大きく変わっていませんけど、ずいぶん調整したので、着心地も見栄えもかなり良くなっていると思います」
「そうなの?着てみるの、楽しみよ」
そう言いながら靴を脱ぎスリッパに履き替える幸世の背後に、気配を察して佳音の目が自然にそこへ向く。
すると、そこには和寿が立っていた。
和寿が一緒に来ることは思ってもいなかった佳音は、声も出せず、立ちすくんで和寿を見つめた。和寿の方も何も言葉はなく、意味ありげにニコリと微笑みかけただけだった。
幸世の背中越しに、二人の視線が複雑に絡み合う。
「……どうぞ」
その視線でのやり取りを幸世に気取られないよう、佳音は逃げるように和寿から目を逸らして、幸世を工房のドレスのもとへと導いた。
幸世のいる前で、どんな顔をして和寿と対面したらいいのか分からなかった。
「わぁ!前と変わってないとは言うけど、やっぱり何度見ても素敵!これで仮縫いなんて信じられないわ!!」
マネキンに着せられた仮縫いのドレスを見て、幸世が感激の声を上げる。
その明るさに気を取り直し、佳音は仕事用の笑顔の仮面を被った。
「さあ、こちらで試着してみてください」
和寿がいるので、パーテーションを動かして目隠しを作り、その向こうへ幸世をいざなった。