オフィス・ラブ #0
「新庄くんだよね? 久しぶり」
久しぶり、と返しながらも、その女が誰だったか思い出せずにいた。
クライアントのオフィスから直帰しようと駅に向かっていたところで、すれ違いざま、いきなり腕を引かれて、あたしあたし、と言われた。
誰だっけ、と思っているのが伝わったらしく、ゼミのなんとか、と教えてくれる。
そうだ、思い出した。
可愛い、と誰もが言うタイプの外見で、ゼミでも、マスコットのような存在だった子だ。
向こうもスーツ姿だから、仕事帰りなんだろう。
「ちょっと、飲もうよ」
金曜なんだし、と誘われる。
たぶん今夜は、彼女と寝るだろう。
確信に近い思いで、そう直感した。
この間、じゃあねと言われてそれきりになってから、1ヶ月がたつ。
そろそろいいだろう、と考えて、誘いに乗った。
酒はどうせ飲んでもたいして酔わないから、ほどほどで切り上げ、寮は部外者立ちいり禁止だからと、嘘に近い理由をつけて、向こうの部屋に転がりこんだ。
鍵を開ける間ももどかしく、唇を合わせて貪りあう。
そのままベッドに倒れこんで、好みというには少し華奢すぎる身体を、思うさま抱いた。