冴えない彼は私の許婚

あれ?
まだ葉瀬恭之助さんは見えないけど…
居ないこと誰も気づいていないの?

「あの…」

私は、彼が居ないことを聞こうとしたが、家元が私を見たので言葉を止めた。

「碧海ちゃんは、本当に綺麗になったねぇ?
昔は、私をじぃ様と呼んでくれていたが、覚えているかね?
私の膝の上でお漏らしをした事もあったなぁ」と、言って家元はアハハと笑う。

え?
私、家元とそんな頃に、既に会っていたの?
全く覚えていない。
家元の膝の上でお漏らしなんて…
恥ずかしくて俯いていると、家元は話を続ける。

「いや、本当に可愛かった。
あの頃、恭之助のお嫁さんになると言っていた子が、こんなに綺麗なお嬢さんになっていたとは、恭之助が羨ましい」

嘘っ!
恭之助さんにも会っていたの?
それも…お嫁さんになるって私が…言ったの?





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