『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
ふふふーって、まだ結婚してもないのに出来ると信じ込んでる。
呆れてものが言えない。こんなトコは、愛理のお母さんにソックリだ。


「愛理、あのさ…」


楽しそうに妄想膨らませてるトコ悪いけど、実際そんなに甘くないこと教えなきゃ。


「…前にさ、マザコン彼氏と付き合ってた時のこと覚えてる?いつかはお母さんから離れてくれるから…とか言ってたけど、結局は愛理よりも母親にベッタリだったよね⁉︎
ヒモ彼氏の時はどうだった?いつかは働いてくれる筈…とか言って、散々お金貸したままでトンズラされたよね⁉︎
ヤンキー彼氏の時はもっと酷くなかった⁉︎ 相手の外見のせいで万引きの疑いかけられてるのに、庇ってもくれなくて…」


挙げればまだまだあるけれど、愛理が可哀想だから止めとく。


「とにかくさ、まだ会ってもいないうちから妄想膨らませるのやめといた方がいいよ。今時アンティークショップの店員なんて仕事、する人いる?その年収確かなの?間違いない⁉︎ 」


疑って悪いけど、信用しきれない。
愛理の恋愛運の悪さは半分以上本人のせいだけど、彼女の優しさに付け入って、男共がしっかりしてなかったのもワルいから。

今度、失敗したら立ち直れそうにない気もする。だからこそ、敢えて会う前にクギを刺さないと。


「今回の人は大丈夫だと思う。仁科の叔母さんの紹介だし、今までみたいに知り合いからの紹介とかじゃないから……」


仁科さんというのは愛理の父方の叔母さんで、お見合いの仲人歴を多数持ってる人。
前々から愛理にお見合いしないか…と何度も言ってきてるのに、本人がそれをずっと断り続けてきたんだ。


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