恋する左耳は、嘘がつけない
一緒に勉強してくれて、いつでも隠してくれるなら、別に見えても構わない。


「ずるいなあ……」


大きな手のひらが、両耳を隠すように両手でこちらの頭を包んだ。


時計の針は、とっくに正午を回っている。一緒にお昼を食べた後は、おしゃべりしながら勉強するのはなしということで、時間を決めてお互い頑張ることになった。


「左京さん左京さん」

「うん?」

「三時になったら一緒におやつ食べよ」

「何か買ってある?」

「ない。一緒にコンビニ行こ」

「行く!」


やった、と笑う日向くんが好きだなあと思った。一緒の大学に行けたらいいなあと、頑張ろうと思った。


四月一日。素直になれなかったわたしたち。


嘘がつけない左耳を隠すのをやめたなら、わたしはきみの隣に座って、きみにしか分からない合図をするから。

そうしたらきっと、飴細工みたいな甘い声で、二度わたしの名前を呼んで。





fin.
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