嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「・・・・・・・・・・タチが悪い」
盛大にひとつ溜息をつき、頭をぐしゃぐしゃと撫でられてから軽く拳骨を落とされた。
「!?」
「とにかくあんまり他の男に愛想よくしたり近寄ったりするなよ」
それだけ言い終わると棚から適当に資料ファイルを抜き出して机の上に置いとけとわたしに持たせ、さっさと資料室を出て行ってしまった。
なんだか心の奥がくすぐったい。
こんなわたしにでも嫉妬して怒ったりするんだ、そう思うと愛されてるのかもと思う。
『大事に思ってる』
あの言葉だけでもう充分、わたしの恋心は報われた。
だから、そばに居られる僅かな時間を大切にしようーーー。
あの、美しい人に心の中で何度も謝りながら・・・・・・・・・・。
資料室から戻ってから、神林くんに頼まれた仕事と他の仕事を片付ける。気が付けば定時を少し過ぎていた。
3時の休憩のときに使ったカップを持って給湯室へ足を向ける。