嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「あ、なに?今、図書室にいるけど。学校にいんの?」
友達からの電話だろうか?
廊下からパタパタと走ってくる軽い足音。
図書室の扉が勢いよく開き、女の子が走りこんできた。
「修!!」
携帯を片手に持ったまま、池上くんが吃驚して振り返る。
女の子はそのまま池上くんに飛びついて首に腕を回した。
「ちょっーー!澤村!?」
「受かった!東京のS女子大!修と一緒に東京行ける!」
彼女は完全にわたしのことなんて目に入っていない。
何かがすとんと心の中に落ちてきた。
「修」と呼び捨てにする彼女。
一緒に東京の大学に進学できると喜ぶ彼女。
ああ、そういうことかーーーー。
「澤村!」
強めに彼女の名前を呼んで、首から腕を外す。
「何よ?喜んでくれへんの?」
彼女が不満そうな声をあげた。
ふとわたしに気付く。
澤村さん。
名前くらいは知っている。ツヤツヤの手入れの行き届いた長い髪、大きな瞳、ぷっくりとした唇、100人の人がいたらおそらく100人皆が美人だと言うだろう。