嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜
「ごめん、誰やっけ?」
首を傾げる仕草まで可愛い。
この場に居たらダメだ。
わたしの心の声がする。
「・・・・・帰るね」
恐らくぎごちないだろうと思うけれど、何とか笑顔で一言だけ声をかけた。
「修、お祝いになんか奢って」
甘い声が図書室を出ようとするわたしの背後から聞こえる。
「大原!!」
呼ばれたような気がしたけれど、聞こえないフリをして走って学校を出た。
水分が多い雪が髪を、服を濡らしていく。
冷たい雪が顔にもかかる。
傘をささないとーーーそう思いついたときにはいい加減濡れそぼっていて。
家に帰りついて、タオルで全身を拭くけれど顔の水分は拭いても拭いても拭いきれない。
自分が泣いていることにも、このときのわたしは気づかなくて。
翌日、きっちり風邪をひいて熱が出て、病院の行き帰りか、病院でか、弱ったところにインフルエンザまで貰い、卒業式まで図書室に行くことはなかった。