嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


う・・・・・と言葉に詰まった。
どんな運命の悪戯なのか。

「ご馳走様」
食べ終えて律儀に挨拶をする池上くんと目が合う。果たしてこの人はわたしに気が付いているのか・・・・・その表情からは伺い知ることもできない。

「あ・・・・・はい」

「よろしくね。成海さん」

「こちらこそ、池上主任」

軽く頭を下げて、視線を上げると昔と変わらない切れ長の瞳に見つめられていた。

10年経って、期待を裏切ることなく素敵な大人になった。

「朝礼終わったら空いてるミーティングルーム使っていいよ。成海、今朝は急ぎの仕事ないやろ?」

「無いです」

「取引先周りは行ける範囲でオレが付き合う。新田の取引先だけざっと教えてやって」

「了解です」
わたしが返事をすると、2人は課長の席で話し始める。

パソコンの陰に隠れて大きな息をついた。なんで今更池上くんなんだろう。

同じ会社に勤めていることさえ知らなかった。
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