嘘つきスノウ 〜上司は初恋の人でした〜


わたしは狡い。

どんな形でも池上くんと繋がっていたいのだ。

傷付くことも傷付ける人がいることも分かっているのに。

「成海、このサンドウィッチ不味い?」

話しかけられて慌てて意識を戻す。
土曜日の昼下がり、卓袱台を挟んで池上くんが買ってきてくれたサンドウィッチを食べていた。

「美味しいですよ、味わって食べてるんやないですか。折角朝から並んで買って来てくれはったし」

「ぼんやりしてるから」

「わたしだって考えこむことくらいあります。お年頃ですから」

べーっと舌を出す。

「・・・・・なあ、こないだの・・・・・」

「・・・・・?」

池上くんが何かを言おうとして、口を噤んだ。

「いや、夜はすき焼きしよう」

「すき焼き?あ、じゃ後で買い物に行って来ます」

「一緒に行こう。いい肉奮発して奢ってやる」

「やったー」

どんな関係でもいい。
こうやって同じ時間を過ごせるだけで幸せ。
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