この度、友情結婚いたしました。
箸を持ったまますっとんだ声を出してしまう。


「あぁ、よく考えてみれば俺達さ、ふたりでデートなんてしたことないだろ?」

「それはそうだけど……」


そもそも昔から家が隣同士だったんだもの。
わざわざ出かける意味がなかったし。

結婚してからも、家具や生活雑貨を買いにふたりで出かけたくらいだ。


「天気もいいし、デートしようぜ!なんて言ったって俺達、新婚じゃん」

「新婚じゃんって……」


本当に春樹は頭の中のネジを一本、どこかに落としてしまったのではないだろうか?
そう思っちゃうほど、あり得ない発言なんですけど。


誰ですか?私にはムラムラしないって言ったのは。
好きになるわけないって言ったのは!!

手のひらを返した言動の数々に、正直ついていけない。


「あのさ、春樹。この際だからハッキリ言わせてもらうけど」

大きく咳払いをし、一度箸を置いて春樹を見据えた。

ここ最近、春樹に言われるがままだったけど、一度私の気持ちをちゃんと伝えておこう。

「なんだよ、急に改まって」

そう言いながら春樹は箸を休めることなく、食べ続けている。
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