この度、友情結婚いたしました。
「お前うるさい!どんなにイチャついていようが、俺とまどかは夫婦なんだからいいだろ!?」

啖呵を切った春樹に、あさみは目をまん丸くさせ言葉を失ってしまう。


そうだよね、びっくりして固まっちゃうよね。
唯一事情を知っていたあさみには、晴天の霹靂でしょ?

私達、お互い愛など全くない友情結婚をしたし、おまけに春樹は結婚前から堂々と浮気宣言をしていたことも知っていたのだから。

「分かったらもう口出しするな!これは俺とまどかの問題なんだから」


子供のように舌を出し、威嚇する春樹に頭が痛くなる。
人の親友に「口出しするな」なんて、よく言えたものだ。


「あさみごめん、本当に色々あってさ。よかったらこの後家に……」

「はぁ?俺とまどかの問題だぁ?ちょっと春樹!あんたどの面下げて言っているわけ!?」


闘牛の如く詰め寄ると、迷いなくあさみは春樹の首を両手で思いっきり締め出した。


「ぐえっ……!なっ、あさみっ……!」


呆気にとられてしまう中、春樹は手を離し苦しそうにあさみの腕をバシバシ叩き出した。けれどあさみは止めるどころか、ますます力を込めているように見える。


「まどかの弱みに付け込んで、友情結婚なんて馬鹿げた流行語大賞でも狙ったような話を持ち掛けやがって……!まどかのこと好きじゃないくせに、結婚なんかしてんじゃないわよっ」

「止めろっ!苦しっ」


春樹の悲痛な声に、やっと我に返り慌てて止めに入った。

「あさみ、落ち着いて!」

「バカね!親友がたぶらかされて結婚させられたっていうのに、落ち着いていられるわけないでしょうが!こいつだけは、一回絞め殺さないと気が済まない!」
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