この度、友情結婚いたしました。
「言っただろ?……本気で奪いに行くって。でも強引にいく気はないから。ゆっくりまた俺を好きになってほしい」

視線を合わせ、力強い眼差しで見つめられてしまう。


「だからまずは俺とデートしてくれない?でないと、好きになってもらえないじゃん」

「琢磨……」


次の瞬間、テーブルに乗せていた手をそっと握られ胸が飛び跳ねた。
けれど琢磨の表情は変わらず、真っ直ぐ私を見据えている。


「友達として出掛けようぜ。……昔みたいに」


どうしよう、これ。自分の気持ちが分からなくなっていく。

私が好きなのは、春樹だよね?それなのに今は、琢磨の言動ひとつひとつに、こんなにも心を大きく乱されてしまっている。

ドキドキして仕方ない。これじゃ私、いよいよ春樹のことを言えなくなっちゃうよ。


「ごめん、ちょっと強引過ぎたよな」


なにも言えずにいると、困っていると思われたのかすぐに手は離され、映画のチケットが入っている封筒はしまわれてしまった。


「そろそろ出るか。昼休み終わっちゃうよな」

「あっ……!」


違うのに。琢磨と一緒に出掛けたくないわけじゃないの。ただあまりにフラフラし過ぎている自分に嫌気がさしていただけなのに。

伝票を手に出る準備を進める琢磨に、言えるはずない。


「ここは俺が出しとくから、先に出てて」

「え、でも」

「いいから。これくらいカッコつけさせてよ」
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