この度、友情結婚いたしました。
お互い一歩も引かず、睨み合いは続きヒートアップしていく。


「派遣切りに遭い、歳の離れたおじさんとお見合い結婚させられそうになった女を救ってやったのは、どこの誰だかちゃんとお分かりですか?」


「あら、よくそんなことが言えますね!手あたり次第手を出した挙句、ストーカーされて怯えていた情けない男は、どこの誰ですか?」


「あんなの社会勉強だよ、社会勉強!」


「それは立派な社会勉強ですこと!そうよね、一度きりの人生の中で手を出した子にストーカーされる経験なんて、したくてもなかなかできないものね。さすがはタラシ男の春樹さんだ」


小学生以下の喧嘩を繰り広げること数分間。


「ここ数年、恋愛もまともにできなかった女に言われたくないね!そういうことはしっかり恋愛できる人に言われてなんぼなんだよ。悔しかったら浮気のひとつやふたつ、してこいっつーの!」


売り言葉に買い言葉。まさにそれだったに違いない。
けれどこの言葉が、私の変なプライドに火をつけてしまったんだ。


「そうだね、全然好きじゃないアホ春樹と友情結婚なんてふざけた結婚させられちゃったんだもの。私にだって浮気して他の人と恋愛する権利くらいあるわよね」


「は?」


思いっきり顔をしかめた春樹。

悪いけど、そこまで言われちゃったらこっちだって黙っていられないから。


「お望み通り、今週の土曜日琢磨と浮気してきます!」


「なっなに!?琢磨とだと!?」

琢磨の名前を出した途端、慌て出した。
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