この度、友情結婚いたしました。
だけどそれも、明日琢磨とふたりっきりで過ごしたら変わるのかな……?
私は変わって欲しいと願っている?このまま気持ちは完全に琢磨に向かって欲しいと。


何度も矛盾する考えを繰り返してばかりだった。


「私もそろそろ寝ないと」

時計を見れば、そろそろ日付が変わろうとしていた。
明日の待ち合わせ時間は十時だけど、遅刻しちゃったらシャレにならないし。

重い腰を上げ、寝床に着いた。




「これでおかしくないかな?」


次の日の朝、昨夜のうちに用意していた服に袖を通すも、おかしくないか鏡の前でチェックしてしまう。

あさみに見てもらいたくても、彼女はつい三十分程前に休日出勤してしまった。


昨夜まではこれでおかしくないと思っていたけど……実際にこれを着て行くかと思うと、心配になってしまう。

だってほら、琢磨とデートなんてずっとしていなかったし。久々すぎるから。


職場で顔を合わせている分、私服で会うのは気恥ずかしい気がしてならない。


「本当に久しぶりだな、服ひとつでこんなに悩むのは」


この前春樹ともデートしたけど、いきなりで半ば無理やりだったし。

でも琢磨とは違う。ちゃんと前もって誘ってくれて私の気持ちを尊重してくれて。

うん、どんなに考えても琢磨ほど誠実で素敵な男性はいないと思う。あの万年発情期男と比べるのが間違っている。

せっかくのデートなんだもん。今日は一日すっぱりと春樹のことは忘れて楽しんでこよう。でないと誘ってくれた琢磨にも失礼だよね。
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