この度、友情結婚いたしました。
そう言うと琢磨はますます進む足を速めていった。

おかげでそれ以上聞くことができず、ついていくのがやっとな私は、琢磨に手を引かれるがままだった。


そんな珍しく強引な琢磨に案内された場所は、この前春樹と訪れた水族館だった。

まさかここに連れて来てもらえるとは夢にも思わず、茫然としてしまう。


「もしかしてもう水族館なんて好きじゃない?」

なにも反応しない私の様子を窺ってくる琢磨に、ハッと我に返った。


「あっ、ううんそんなことないよ!水族館大好き」

慌てて笑顔で答えると、琢磨は安心したようにホッと胸を撫で下ろした。


水族館は昔から大好きだけど……まさかじゃない?
つい最近春樹に連れてこられた場所に、今度は琢磨と来ることになるなんて。


「良かった、実は前もってチケットも買っていたから、嫌いだったらどうしようかと思ったよ」

「琢磨……」


本当に琢磨は私のことならなんでも知っているのかも。
よく覚えてくれていたね。そんなことまで。


嬉しいって思えるのに、それと同時に泣きたくなってしまうのはなぜだろう。
ただ単純に、嬉しすぎて?それとも――……。


違う考えが頭をよぎった瞬間、消し去るように首を左右に振ってしまった。


「どうかした?」

「ううん、なんでもない!早く行こう」
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