この度、友情結婚いたしました。
ううん、そんなことないよ。
春樹は私のことなんか好きじゃない。この前の喧嘩でそれを十分理解できたはず。


なのにどうしてすぐに言えないの?「そんなことありえないから」って。「琢磨の言う通り、春樹は私のことなんて全然本気じゃなかったから」って――。


言えないどころか傷ついているとか、あり得ないでしょ。
これじゃいよいよ私……春樹のこと好きみたいじゃない。


導き出してしまった答えが妙にしっくりきてしまう。


あさみの言う通りになってしまった。ふたりっきりで過ごして見えてくる気持ちがあったよ。


「さて、次のところも考えているんだけど、そこに行ってもいい?」

「あっうん、もちろん」


だめ、今は琢磨と一緒にいるんだから。決めたじゃない。今日一日は春樹のことを考えないようにしようって。


「じゃあ行こうか」


映画を見終えてからずっと歩くときは手を繋いでいたというのに、なぜか目配せし手を繋ぐことなく先に歩き出してしまった琢磨。


けれど今の私にとってそれはホッとしてしまうものだった。
今の気持ちのまま平然を装って琢磨と手を繋ぐなんて、きっと無理だったと思うから。


痛む胸を押さえ必死に琢磨の後を追い掛けた。
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