この度、友情結婚いたしました。
余程痛かったのか、涙目で見上げてくる。
もちろん謝罪の言葉など言ってやるものか!

「おやすみ!」

刺々しく言い、さっさと春樹の部屋を後にした。



「あーもう!本当に信じられない、あの能天気バカ男!」

自分の部屋に帰ってきてからも怒りは収まらず、怒りを発散させるように、クッションを春樹の部屋がある窓の方へ思いっきり投げつけた。

なにがお互いメリットがあるよ。
自分にだけじゃない!メリットがあるのは!!

そのままベッドに横たわり、天井を見つめる。

「結婚なんだからね。……そんな簡単に決められるものじゃないんだから」

いくら私には結婚願望がないと言っても、結婚とはどういうものなのか、そこらへんはちゃんと理解している。

一生に一度の決断と言ってもいいほど、大きくて大切なことだ。

それをアイツは自分の利点ばかり考えて簡単に口にするなんて……!

「本当に最低最悪な奴だ」

うつ伏せになり、目を瞑る。

結婚って昔は幸せなイメージしかなくて、私も大人になれば誰か素敵な人とするものだと思っていた。

けれど大人になればなるほど、理想と現実の違いに気付いて、徐々に結婚願望が薄れていって……。
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