この度、友情結婚いたしました。
だからといって、このままあのバカとズルズル結婚しちゃうようなアホな女じゃないんだ、私は!!

願望がなくたって、もしかしたらこの先素敵な人が現れるかもしれない!……なんて淡い期待をちょっぴり抱いていたりするし。

春樹はいい奴だと思うし、これからも一生付き合っていきたい友達のひとりだ。

決して結婚して一緒に暮らしていきたい奴ではない。

そうだよ、やっぱりおかしいに決まっている、友情結婚とか。

「ちゃんと断ろう、春樹に」

春樹だって一晩経って冷静になったら、私に結婚しようって言ったこと、後悔しちゃうかもしれないし。

とりあえず明日の夜、ちゃんと話し合おう。――そう、思っていたんだけれど……。


* * *

「おめでとうー!」

「お幸せにねー!」

祝福の声と共に空を舞うのは、色鮮やかな花弁。
親戚や友人達によって作られた道を、春樹の腕に自分の腕を絡ませ進んでいく。

『ちょっと春樹、くっつきすぎ!』

『はぁ?くっついてきているのは、お前の方だろうが!』

お互い笑顔を貼り付けながら、誰にも聞こえないくらいの小さな声で文句を言い合う私達、この度色々ありまして結婚いたしました。
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