ENDLESS
冬は、まだ、終わっていない。
凍った空気が、透きとおる、
ちょうど、真っ只中。
「良い物件、見つかってよかったな」
「うん」
あの後、気持ちを一つにした俺たちは、一度は諦めた引っ越しの計画を進めている。
「入居は、まだまだ待たなきゃなんねーけど、その頃には、春休み入ってるし、引っ越すにはいい時期だろ」
「でも……大丈夫? 家賃も上がるし、学校からもちょっと離れるし」
君は、意外に心配性で、俺を気遣ってくれるが、
「あのくらいの家賃で生活傾くほど薄給でもねーよ。離れたって、車あるしな」
この決心は、俺の、けじめのようなものだから、何があろうと貫くつもりでいる。
「私も、車、欲しい」
「免許持ってねーじゃん」
思えば、君が家に帰れなくなった原因は、俺にあるのだ。
「18歳になったら、すぐ免許取るもん」
「残念……うちの学校、在学中の運転免許取得、禁止」
俺が、藤崎先生を惑わせ、中途半端に引きずった所為で、君に孤独を強いて、君の居場所を奪った。
「何で!? 清ちゃんだけ車で通うとかズルいよ!!」
「ズルいって……そういう問題じゃ……だったら、さっさと卒業しろよ」
そうして、寄る辺をなくした君と歩むという決心は、
「卒業したら……」
「どうした? 急におとなしくなって」
どこか、償いに、似ている。
「卒業したら……っていうか、これからのこと、清ちゃんは、どう考えてるのかなって」
「これからって、もしかして……御挨拶のことか?」
だが、償いだって、愛のうちだろう?
「うん、ずっと黙ってるってわけにはいかないでしょ」
「……いっそ、もっと遠くまで逃げるか。俺、おまえがいれば、どこでだって生きていけるよ」
そして、君を、償いで縛れるのなら、俺は、ともに、償いに縛られてもかまわない、むしろ、本望だと思っている。
「何で……」
「……だって、藤崎先生、怖ぇし」
それだって、愛のうちだろう?
「何で!? 逃げるって、何だよ!! 清ちゃんが頑張るって言うから、私……」
「あーもう、冗談だって。ちゃんと考えるから」
それも含めて、全て含めて、
もう君を一人にしない、
もう君を泣かせない、
「絶対だよ!! 約束だからね!!」
それが、俺の選んだ、愛だから。
「わかった、約束な」
そんなことを、ぼんやりと考えながら、
「なぁ、もも……」
そう、一度は諦めた引っ越しの計画を進めている。
「……早く春になるといいな」
物語は、まだ、終わっていない。
繋がり、繰り返す、
ちょうど、真っ只中……
完
20151103 優臣
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