ENDLESS
車は、夜を駆けた。
心は、いつかのように、
君だけを、想って……
「もも!! 出てこいよ!! まだ、俺の答え聞いてねーだろ。おまえも、藤崎先生みたいに、一人で飲み込んで、俺から逃げるのかよ!!」
家には帰れないと言った君は、この遠い町の、ありふれた1K、今、目の前にある部屋に帰っているだろう。
その部屋から顔を出す君は、まだ泣いているだろう。
「何、答えって……」
俺は、君を、さらに泣かせてしまうのだろうか。
「……全部、おまえが思ってる通りだ」
俺は、藤崎先生が、好きだった。
心から焦がれ心から執着した。
好きで好きでしかたがなかった。
「でも、俺、振られたんだよ。振られて、それっきりだ」
あの、眩みそうなほどの、まぶしさの中で、
あの、倒れそうなほどの、あつさの中で、
“俺、先生が、好きなんだ”
堪えきれずに、あふれた、
あの頃の、想いは、
夢にみるくらい、
焼きついている。
「だったら、何!? 私を代わりにしたいってこと!? 清ちゃんはママが好きなんでしょ!!」
「それは終わったことだって言ってんだろ。今でもそうなら、おまえを代わりにするより先に、藤崎先生に逢いにいくだろ。おまえの話じゃ、藤崎先生だって満更でもなさそうだしな。でも、違うんだよ、俺は……」
それでも、それは、もう、
遠い記憶、ただ、遠い記憶だ。
「……俺は、もう、おまえが好きだから……好きになっちまったから、だから、こうやって、おまえを追いかけてきたんだよ」
人は、いつだって、今を生きている。
「確かに、きっかけは、藤崎先生の存在があったからだけどさ、今は、おまえのことしか見てねーよ。だから、今の俺と向き合えよ、今の俺を信じろよ」
走り出した道を、引き返すことなどできない、
「藤崎先生には悪いと思ってる。身勝手な感情ぶつけて、身勝手に過去にして、その上、アンタの子を好きになっちまいました、なんて、酷ぇよな、酷ぇことしてるってわかってる。でも、好きになっちまったもんは、どうしようもねーんだよ」
回り出した運命に、抗うことなどできないのだ。
「俺だって、苦しいよ。おまえのこと好きだって思うほど、藤崎先生を裏切ってんだ。でも、その苦しさも含めて、俺の、好きってかたちなんだよ。だから、それでも、一緒にいたいと思うんだよ」
そうして、未来に、期待を馳せる。
「それが、俺の答えだ」
ああ、やはり、
君を、さらに泣かせてしまった。
「清ちゃん……私……信じたい……清ちゃんのこと……信じたいよ……」
だが、それは、もう、
悲しみの涙ではない。
「いいよ、信じろよ。全部、受けとめるから。俺、頑張るから」
だから、
その涙を、泣きじゃくる身体ごと、
抱きしめた。
離れることなど、できないくらい、
強く、強く、
抱きしめた。
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