わたしは年下の幼馴染に振り回されています
今、奈月を見ることだけはできない。
察しのいい彼女がどんな顔をしているかたやすく想像がついた。
「体調悪いなら寝てきたら? 顔が真っ赤よ」
「そうする」
わたしの中でリビングを監視するよりも、今の状況から逃げ出すことが勝った。
時間がたてば、昔のようにどきどきすることもなくなると思うから。
わたしは誰の顔を見ることなく、リビングを出た。
足を止めると、まだ彼の感触が残っている額に手を伸ばしていた。
わたしが拓馬の手を払いのけることができなかったのは、彼の手が昔とあまりに変わっていたためだ。
小学生の、わたしの記憶の中にある拓馬の手よりも大きく、骨っぽくて、ごつごつしていた。
その感触は彼が昔とは違うのだということを教えてくれた気がした。